ファンタジーを読む①

妖女サイベルの呼び声 著パトリシア・A・マキリップ 訳 ★★★

 

物語の中でサイベルが愛と憎しみを学んでいく。

悔しさ憎しみ、そこから生まれる闘争心や強い気持ちは生きる原動力だと私は思う。

ただ、憎しみの行きつく先を考えたことはあまりなかった。

憎しみ復讐心は最終的には自身を孤独にし、恐怖・猜疑心へと変わっていき身を亡ぼす。復讐心にとらわれるのではなく、今ある愛に感謝して生きる事の豊かさについて考えさせられた。わかりやすい表現でありながらも、幻想的なファンタジーの世界が感じられてうっとりとそしてじわっと来る作品。

 

 

9年目の魔法   著ダイアナ・ウィン・ジョーンズ 訳浅羽芙子 ★★

 

ちょっと初心者には難しい。作中には多くの物語が登場する。

「若きタムリン」「詩人トーマス」「金枝篇」「妖精辞典」「ヘンリエッタの家」「ウィロビー館のオオカミ」「喜びの箱」「夜中であるく者たち」「宝探しの子どもたち」「太陽の東月の西」「トムは真夜中の庭で」「木曜の男」「宇宙戦争

これらに、本書を読み解く上でのキーワードが隠されているのだが、全く妖精に詳しくないものとしては、何がどうしてどうなったのかがよくわからなかった。笑

ただ、こんなに無知な私でも次に何が起こるのだろうと引き込まれるのだから面白い作品であることは間違いがない。たくさんのファンタジーを読んで、もっと理解したいと思う一作。

 

 

闇の公子 著タニス・リー 訳浅羽芙子 ★

 

思っていたファンタジーと違ったというのが率直な感想。

愛と夢と希望にあふれた作品を読みたいという人には向かない。また、自身の無知を露呈させてしまうが、文章の流れや単語が難解で難しく感じてしまった。本書に登場する妖魔に翻弄される人間を見るのはつらく思えるが、ただ、どの人間の中にも確実に存在するむき出しの欲望が面白い。妖魔によって人生が翻弄されることは確かだが、そもそもその人間の中に「欲や情念」がなければ破滅には向かわないだろう。

だからこそ、自分の中にある毒を見るようで胸がチクり。